役としては
旅先で出会った世話好きなおばあちゃん
と
亡き妻
の2役。
『鞄ノ君』は
劇作家大会2014 豊岡大会のこうのとり短編戯曲賞最終に残った作品で
街角リーディングでmonoの土田英生さんと悪い芝居の山崎彬さんに
候補作一挙上演時には大谷亮介さんに演じていただいた作品でした。
おばあちゃんはセリフにも出てくるのですが
亡き妻はほんとト書きにしか出てこない役。
今回、メインの男をsmokersの吉田一義さんに演じていただいて
初めて女が具現化して演劇になりました。顔合わせが本番の約一ヶ月前。
ほぼほぼ吉田さんのひとり芝居なので
通し稽古までの時間も早く。
ただ、あんだけ吉田さんがセリフを入れなきゃいけないのだから
10行も喋ってないあたしは足を引っ張ってはいけないし
さらに、ちゃんと仕上げなきゃいけないと少し力んだりする日もありました。
これだけ綺麗だなぁと思う役って何年かに一度いただけて
卒業公演の『さよならノーチラス』の理沙
Live Up Capsulesの『散華抄』のヒマワリ
ノアノオモチャバコの『愚者には見えないラ・マンチャの王様の裸』の中川恭子
ラビット番長の『ギンノキヲク』の陽子
えにしの『チチキトク』の五月
思い返せば全てすんごくあたたかい役(一部は悪魔みたいな役もあるけど)で
でも、それらは基本的に一方的な想いの強い役だったなぁ〜と。
終わった後の切なさはその綺麗さだったりへの思いとか。
そんなこんなで思い返すと
今回の相思相愛な役って初めてだったんだな…
どっちがどんだけ想っても限界がない夫婦。
少し話しがそれるけど
去年の8月に母が4年の闘病を経て逝きました。
お見合い結婚だったし
職人な父との結婚生活を考えると
母の幸せはどこにあったのかを考える。
亡くなって初めて知らされた母の過去があり
それでも思いやりと心の強い人だったなぁと。
だから、今回の妻のイメージは母です。
衣裳で着ていたのも母のチュニックとストール。
ま、もともと「おねーちゃん着れるのがあったら持っていけば?」と妹に言われた服なので。
残された人と残して逝く人を見てそんなに月日も経ってないせいか
男に父を重ね女に妻を重ね
稽古場では吉田さんのひとりのシーンを見ながらよく泣いてました。
袖でも泣いてたけど…
最年長な二人ですからね
トップバッターということもあるせいか
開場ギリギリまで舞台上をうろうろする二人でした(笑)
一ヶ月。
幸せだったなぁ〜
ほんと。
その分、終わってしまった切なさも名残惜しさも
半端なく襲ってくるけど。
打ち上げ終わって
家に帰ってきて
寝て
起きて
案の定
「あ、本番っ…終わったんだなぁ〜」
ってなって。
切ないなぁ…
生きよう。